中小企業庁が「中小M&A推進計画」を公表しましたのでご案内致します。
中小企業庁は、4月28日に「第6回中小企業の経営資源集約化等に関する検討会」を開催し、経営資源集約化等を推進するため今後5年間に実施すべき官民の取組を「中小M&A推進計画」として取りまとめました。
本計画は、経営者の高齢化や後継者不足、及び新型コロナウイルス感染症の影響に対応し、中小企業の貴重な経営資源が散逸することを回避するとともに、その経営資源を将来につないでいくかを計画したものになります。
これまで、経営者の高齢化や後継者不足が議論されてきましたが、新型コロナウイルスの影響で先行き不透明な業界が出てきており、廃業や事業承継が活発になることが想定されます。中小企業庁の公表データによると、現状を放置した場合、中小企業・小規模事業者廃業の急増により、2025年までの累計で約650万人の雇用、約22兆円のGDPが失われる可能性があるとされており、官民一体となり対応すべき課題と言えます。
今後の関連動向に着目し、関係企業の支援に対応していきたいと存じます。
下部に、中小企業庁がまとめ「中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題」を記載しますので合わせて参照ください。
■中小M&A推進計画
●策定の趣旨
経営者の高齢化や新型コロナウイルス感染症の影響に対応し、中小企業の貴重な経営資源が散逸することを回避するとともに、事業再構築を含めて生産性の向上等を図るため、中小企業の貴重な経営資源を将来につないでいくことを目的に策定しました。
●中小M&A推進計画」の主なポイント
①中小M&Aの意義と潜在的な対象事業者
・「経営資源の散逸の回避」、「生産性向上等の実現」、「リスクやコストを抑えた創業」の3つの観点から中小M&Aを推進
・中小M&Aは年間3~4千件実施されている一方、潜在的な譲渡側は約60万者(成長志向型 8.4万者、事業承継型 30.6万者、経営資源引継ぎ型 18.7万者)
②小規模・超小規模M&Aの円滑化
・事業承継・引継ぎ支援センターと民間M&A支援機関の連携強化を図るとともに、新たな補助類型の創設等により経営資源引継ぎ型創業を推進
・最低限の安心の取組を確保するため、士業等専門家の育成・活用を強化しつつ、保険料への補助を開始して表明保証保険の活用を推進
③大規模・中規模M&Aの円滑化
・中小企業が民間のM&A支援機関による支援を適切に活用できるよう、企業価値評価ツールを提供するとともに、補助金等によりセカンドオピニオンの取得を推進
・M&A実施後の経営統合(PMI)の取組等を推進するため、中小M&AにおけるPMIに関する指針を策定するとともに、中小企業向けファンドによる支援を拡充
④中小M&Aに関する基盤の構築
・事業承継の気づきを提供する事業承継診断を企業健康診断へと発展的に改組
・中小M&Aの制度的課題に対応(所在不明株主の株式の買取り等に要する期間の短縮等)
・M&A支援機関の質を確保するため、M&A支援機関に係る登録制度を創設するとともに、M&A仲介に係る自主規制団体を設立
【関連リンク先】
・経済産業省:「中小M&A推進計画」
https://www.meti.go.jp/press/2021/04/20210430012/20210430012.html
■中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題
中小企業庁がまとめた資料によりますと、「中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題」を以下の通りとしております。
・2025年までに、70歳(平均引退年齢)を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人となり、うち約半数の127万(日本企業全体の1/3)が後継者未定。
・現状を放置すると、中小企業・小規模事業者廃業の急増により、2025年までの累計で約650万人の雇用、約22兆円のGDPが失われる可能性。
・第三者承継のニーズが顕在化する経営者は今後一気に増大する可能性。
【関連リンク先】
・中小企業庁:中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/kenkyukai/hikitugigl/2019/191107hikitugigl03_1.pdf